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良い明細書の作成方法

良い明細書の作成方法
How to make A high-grade Description
平成9年6月1日
特許事務所 富士山会 弁理士・行政書士 佐藤富


[抄録] 良い明細書があって初めて、良い特許が取れることには疑いの余地はなかろう。
良い特許、特に企業の立場に立った良い特許とはどういう特許であるかの基本に立ち返って論じた後、逆に、そこから良い明細書とは如何にあるべきかを明確にし、良い明細書の作成方法について具体的に論じることとした。

目次
1.はじめに
2. 「良い特許」とは?
2.1矛としての効力
2.2盾としての効力(実施の確保)
2.3その他
3. 「良い明細書」とは?
3.1セールスポイントと特許技術の特徴を一致させること!
3.2羨ましがられる/嫌がられる特許
3.3広い特許
3.4強い特許
3.5スキのない特許
4. 具体的方法
4.1開発の人間/特許の人間のやるべきことはなにか?
4.2審判決例の研究
4.3徹底した特許調査
―パテントマップ―
4.4PCT出願の活用
4.5後の先の取り方
―後発メーカーの生きる道―
4.6その他留意事項
5.結論
6.おわりに

1.はじめに
「良い明細書の作成方法」は、出願人は勿論特許に関係する者にとっても、特許制度がある限り永遠のテーマである。そして、良い明細書があって初めて、良い特許が取れることには疑いの余地はなかろう。
しかしながら、良い特許とはどういう特許をいうのかの基本に立ち返って考えた場合、誰にとって良い特許であるのかが基本的な論点になろう。良い特許であることを決めることができるのは最終的に特許権者である事業者であろう。また、どのように明細書を記載すれば、良い特許となるのかが明確になっているとは言えず、また良い特許の基準自体も明確になっていないのが実情であろう。
そこで、良い特許を取るために、出願人である企業の立場に立って1)、良い明細書の基準を明確にするとともに、良い明細書の作成方法を具体的に纏めることにした。
そして、どのような商品でも材料から成り立っており、材料発明について、良い特許を取ることは業種を問わず重要な問題であろう。従って、本論説では、材料発明を念頭に置いて、良い明細書の作成方法を具体的に論ずることとした。
なお、筆者は会社勤務する者であるが、本論説は、会社とは関係ない個人的見解である旨を念のため申し述べておこう。

2.「良い特許」2)とは?
「良い特許」とは、どのようなものであるかを特許3)の本質に立ち返って考えてみることにしよう。
「良い特許」とは事業のために役立つ武器となること!
自由主義社会では、自由競争が基本である。 特許を持つ者を一定期間保護する特許制度は、自由競争を制限しているように見えるが、産業政策的な観点から合法的に認められている制度である。従って、特許を有する会社が一定期間ライバル会社に対して優位に立つことが可能となる特許が、一番「良い特許」であろう。良い明細書の記載方法もそのような観点に立って記載すべきであろう。このようにして「良い明細書」を通じて「良い特許」取得、そして「良い特許網の構築」の図式が完成するのである。すなわち、技術的にはいかに高度であっても経済的に機能しないような特許は悪い特許であるといっても過言ではなかろう。4)
次に特許の効力の面から考えてみよう。「特許権とは、独占排他的効力を有する権利である」と一般には定義されている(特許法第68条)。すなわち独占的効力と排他的効力の両方の性質を有していると通常説明されている。5)分かりやすく説明すれば特許とは、「矛と盾の両方を持った戦士」6)に例えることができよう。「良い特許」とは「矛と盾の両方を持った強い戦士」の効力を有する特許であろう。
2.1矛としての効力
排他的効力は、他人が特許発明を実施するのを排除する効力である(特許法第68条)。いわば、自分の縄張りに入ってきた者を「矛を持った戦士」が矛でやっつける「矛としての効力」である。 これからは日本もプロパテント時代を迎えるに際して、次に述べる「盾の効力」よりもこの効力の価値7)の方が段々と大きく評価されるようになっていくものと思われる。競争の激しい分野では「矛としての効力」がますます重要視されていくであろう。8)
2.2盾としての効力(実施の確保)
もう一つの効力である独占的効力とは、特許権者のみが独占的に実施できるという効力、また言い換えれば、国家から専売特許を附与されて独占的に実施できるという効力である。自らの特許を実施していれば他人から侵害であるといって訴追されることはないという、どちらかというと消極的な9)実施の確保を主目的とした「盾の効力」である。自分がうっかり敵の縄張りに入って敵から矛による攻撃を受けた場合、「盾を持った戦士」が盾で防御してくれる「盾としての効力」であろう。10)
(1)クロスライセンスの材料
先願基本特許の矛としての効力に対抗しようとしてなされた後願改良特許がまんまと特許になった場合、先願特許権者と言えども後願改良特許部分については実施することができない。後発メーカーとしては、双方とも実施できなくなるという、いわば相打ちをねらって特許を取ることを常に考えることとなろう。
(2)実施料収入等
特許は、収益権でもあるから収益を上げることは当然にできる(特許法第78条第1項)。他人に特許を使用させて実施料を得るのである。このような場合は、定量化された実施料によって特許の価値が顕在化してくるので非常に分かりが良い。11)
また、特許権はもともと物権的権利であり土地等の不動産とよく似ており、質権(特許法第95条)、譲渡担保とすることも可能であり、特許に基づいて資金調達も行なうことができよう。
2.3その他
また、特許は発明者の勲章となり報奨金により、発明に対するインセンティブを高めることができよう。
特許を武器にして、事実上の技術標準あるいは公的な技術標準を策定し、市場において優位に立つという企業戦略がものをいうようにもなってきている。かかる企業戦略において特許は必須ともいってよい武器であろう。
3. 「良い明細書」とは?
「良い特許」とは、企業すなわち事業者にとっては、事業のために役立つ特許が「良い特許」であり、「良い特許」が取れる明細書が「良い明細書」であろう。従って事業のために役立つことを常に念じつつ明細書を書けば、それは間違いなく「良い明細書」ということができよう。
それでは、具体的には「良い明細書」とは、どのような明細書かを説明することとしよう。
3.1セールスポイントと特許技術の特徴を一致させること!
前述したように、事業の根本はセールスであり、特許は事業のために存在することは疑いの余地はない。事業には商品が付き物であり、商品には、セールストーク(セールスポイント)が付き物であるから、明細書においても、商品のセールスポイントとクレームの技術の特徴とを一致させるべきである。商品の特徴と特許の特徴とを一致させて、セールストークによる営業活動と「良い特許」の機能の相乗効果により、さらにライバル会社よりも優位に立つことができ、事業を成功させることができよう。セールストークの内容あるいはカタログに書く内容(セールスポイント)を明細書に落とすこと!12)
例え、基盤となる開発技術があらかじめ開発されていたとしても、そしてそれが基本発明となる可能性を秘めていたとしても、開発技術の特徴をセールスポイント(将来を先取りしたセールスポイントでもよい。)に仕上げなければ意味がない。例え、開発技術が、学術的に優れたものであってもこれに反すれば、冷たいようだがそれだけのものであり、逆に学術的には大したことはなくても、開発技術の特徴をセールスポイントに仕上げることができ、それを特許明細書に記載して特許が取れれば、それはそれで「良い特許」に決まっている。特許明細書に記載されたセールスポイントのみが本格的競争時代において機能するといっても過言ではなかろう。
なお、矛としての効力を期待された特許の場合、他社が参入の際用いるであろう想定セールスポイントと開発技術の特徴とを一致させればそれはそれとして意義があろう。
3.2嫌がられる/羨ましがられる特許
平たくいえば、ライバル会社から嫌がられる/羨ましがられる特許が「良い特許」であり、敵から「鴨葱特許」といわれては終わりである。このような特許が得られたら、それは「良い明細書」だったと言うことができよう。従って、敵から嫌がられる/羨ましがられるような明細書を書くように心掛けると、自然と「良い明細書」が書け、「良い特許」を取ることとなろう。
3.3広い特許
「良い特許」、すなわち「矛と盾の両方を持った強い戦士」の機能を発揮させるためには、広い保護と強い保護を受けられる特許である必要があろう。このことは、荒井前特許庁長官の「21世紀を知的財産権の懇談会報告書」の内容を見るまでもなく、特許制度が存続する限り永遠に通用する真理であろう。
(1)SIMPLE IS BEST(多記載狭範囲の原則13))
セールスポイントを手短にクレームに落とすことが広い特許を取得する上で重要である。発明者は、多記載クレームの方が技術的に高度であり、特許としては多記載クレームの方が高度であるとよく勘違いするので注意を要する。書く内容があっても抑えて、敢えて書かないことも重要なのである。 なお、発明の詳細な説明は、素人にでも分かる骨太の説明を試みるのがよかろう。最終的には裁判官が判断するのである。
(2)水平展開、垂直展開
水平展開、垂直展開を考慮して広い特許を取るというのはよく言われていることなのでここではあまり触れないでおく。水平展開は、例えば物の発明であれば、その物の製造方法、その物の用途発明等の関連分野までも特許が取れないかと発明思考の水平展開を図ることであり、垂直展開とは、下位概念から上位概念を抽出して発明思考の垂直展開を図ることである。
また既に構築した自社の特許網を、パテントマップの手法を用いて水平展開、垂直展開を図り、フロンティアを開発して、さらに「良い特許網」とする道もあろう。また、既に構築した自社の特許網により拒絶されることのないように検討する必要もあろう。自分の出願で自分の出願が拒絶されるの図は笑い種である。
(3)その他
クレーム表現が悪い場合には、狭い特許しか取れないこととなるので、クレームの表現にも留意する必要があろう。プロダクトバイプロセスとかファンクショナルクレームとかは、現時点では裁判所において広く解釈されるか狭く解釈されるかは問題含みであり狭い特許しか取れない危惧もあるので、できるだけこのような表現は避けた方が無難であり、極力オーソドックスに表現すべきであろう。
マーカッシュ形式についても同様であり、できるだけ上位概念の用語を用いるように努めるべきであろう。14)
ジェプソンスタイル形式については、米国出願を予定しているような場合、間違っても非公知技術を前提技術として記載することのないように注意すべきであろう。15)
また、“consisting of〜”に相当する「〜である」よりは ”comprising〜” に相当する「〜から成る」、「〜を含有する」をお勧めしよう。
3.4強い特許
強い特許とは、訴訟の際に強い特許のことをいうものであろう。具体的には以下のものが強い特許であろう。
(1)立証し易い内容のクレーム
一般的には、方法の特許よりも、物の特許の方が強い特許であると言われている。なぜならば、製造方法の発明は、工場に立ち入り検査等をしなければ立証できないが、商品は市場に出廻っているので誰でも容易に入手でき立証が容易だからである。従って、市場において入手した商品を前にして、恣意を排除して極自然に表現すれば良いであろう。16)
(2)新規物質(製造方法、用途を含む)は必ずクレームアップ
公知物質の製造方法の発明は、強い特許ということはできず、日本ではノウハウとして保持すべき特許ともいうべきであろう。ただし、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確保するために、ありとあらゆる機会を通じて宣伝をしようとするならば、それはそれとしての意義があろうが……。また、米国では、ディスカバリー手続17)で保護されるから、例え公知物質の製造方法の発明であっても特許価値はそれなりにあろう。
(3)高金額の対象物のクレームアップ18)
請求項については上から下に行くに従って高金額化となるようクレームアップすることをお勧めしよう。 訴訟の際(実施交渉の際も同様)、対象になるのはクレーム記載の発明であり、クレームに低金額なものの発明しか記載していなかった場合、少なくとも高金額のものが対象となることは絶対に有り得ない。逆に材料等のセールスポイント部分を組み込んだより高額な製品をクレームアップした場合は、セールスポイント部分の全体に対する寄与率が問題となってくるが、場合によっては(交渉次第では)、高額な損害賠償料(実施料)が得られる可能性を残すこととなる。ここに素材特許等の場合には、素材→部品→完成品の順にクレームアップするのがよかろう。
また、メーカーにとっては、その材料を製造してユーザーに販売するメーカーの立場に立ったクレームアップだけで足りると考えることも多いが、材料を購入したユーザーの立場に立ったクレームアップをも忘れずに行なうべきであろう。すなわちメーカースタンス→ユーザースタンスの順にクレームアップするのがよかろう。19)
特許対象の高額化と特許活用機会の場が増えるという理由からである。
3.5スキのない特許
個々には広くて強い特許であってもスキがあっては駄目な特許であり、特に広すぎる特許の場合はスキのない特許にすべくパテントマップ等を利用して特許を取るように特に注意を払うべきである。なお、特許になった時点で、広すぎる明細書は、相手に実施させないための「矛としての効力」は少なくとも達成しているのであり、それはそれなりの価値があることは間違いはなかろう。しかし、広すぎてスキがあれば自分が実施できなくなる場合がある20)のでそれを防止するいわば「盾の効力」をも発揮させようとするものである。 事業のために役に立つ「スキのない特許網」であり、あくまでも全体で評価すべきであるが、ここでは、「スキのない特許網」を構成するスキのない特許をどのようにして取得して行ったら良いのであろうか?を以下考えてみることにしよう。
(1)特許明細書を見て後発メーカーはあきらめてくれるのが一番良い。 すなわち、「天網恢恢疎にして漏らさず」では駄目で、「戦わずして勝つ」を実践するような明細書を書くのが理想的であろう。 しかしながら、敵もさる者、後発メーカーはあきらめず改良発明を考えてくるのであり、スキを見せることは許されないのである。 ライバル会社も、先願基本発明を見て、そこから効率よく改良発明を考えるのは極自然であり、ここからは双方の読み合いの攻防が見られよう。
さて、このような接近戦では、開発の人間よりも特許の人間の方がより有効な手段を考えるとしたものであろう。 スキのない特許では、特許の人間も開発の初期段階から開発の人間と一心同体となり、徹底した特許調査と読みに読んだスキのない特許明細書に仕上げることに全力を尽くすことがより重要であろう。
開発の人間は、資質である創造力を駆使し、特許の人間は、知財戦闘力により、一致協力して、事業に役立つ特許網に仕上げることが重要であろう。21)
(2)実施例について
効果の予測が困難な化学発明にあっても、実施例は最低一つあれば特許法第36条で拒絶されないこととなっている。22) しかし、広い クレームに比較して、実施例が少なすぎる場合は、後発メーカー等が選択発明、数値限定発明等の改良特許を取る可能性を残すという意味でスキのある特許ということができよう。従って、実施例は万遍なく散らばらしてある方がスキを造らないという意味で意義がある。23)
4.具体的方法
4.1開発の人間/特許の人間のやるべきことはなにか?
(1)開発の人間と特許の人間が一心同体となって「良い特許」をとること
開発の人間と特許の人間が一心同体となり、特許戦略に則って、「良い特許」、すなわち広くて強いかつスキのない特許を取るかが、重要である。
研究開発成果は、「良い明細書」によって最終的に「良い特許」に仕上げ、「良い特許網」を構築するようにするのである。特許は、開発の人間と特許の人間双方の合作と考えれば良いと思われる。事業において役に立つのは、単に生まれただけの手をかけない発明ではなく、出願前に徹底した特許調査と、種々の面から特許戦略に則って検討し、さらに拒絶対応等を経て淘汰されずに生き残った特許なのである。 特許の人間が企画・アイディア段階等の開発初期の段階から参画した場合には、開発製品が良く売れて成長を続けていくことを裏付ける資料があり、そこには「成長している企業ほど工業所有権担当者が早い段階で製品開発に参加している傾向がある。」と書いてある。24)
「下手な鉄砲も数撃てば当る」というのは無責任な発言で、「駄目元の特許」はやっぱり駄目であろう。
(1)特許の人間の貢献とは?
「確かに、創造性は発明者の方が優れていますが、そこから生まれたアイディアを改良する知恵は特許の人間の方が長けていると思っています。」とキャノン専務の丸島儀一が言うように、特許の人間は、とかくライバル会社より優位に立つために「矛と盾を持った強い戦士」の機能を発揮する特許を得るために鍛えに鍛えた戦闘能力を駆使してかかる特許を得ることが大切である。
特許の人間が考える特許というのは、いろいろ拒絶対応等の経験が豊富で、囲碁将棋で言えば、いっぱい定石、手筋を知っているということが言え、接近戦が強いのが特徴であろう。一足一刀の間合いに、どうすれば優位に立つ相手の矛を掻い潜るか、相打ちにもつていくかという戦略面に長けているということができよう。
(2)開発の人間の留意点とは?
@メリハリを付けた開発を最先出願から少なくとも1年以内、遅くとも公開前(場合により、国際公開前に25))には改良発明の特許出願を全て完了しておくことが重要である。自分の公開特許で自分の特許が拒絶されるのは恥であり、愚の骨頂であろう。このような場合最初の自分の特許は無い方が良いということである。このようなことは開発の進め方に留意して是非とも避けるべきであろう。ウォッチングシステム等により自らの既に構築した特許網を把握して是非とも開発スケジュールに反映して欲しいと思う。
A発売前、発表前には必ず特許をだすこと!
特許を出さないで発売は背信行為であると考えるべきである。プロパテントの徹底していない会社では、このようなことが平然と行われ勝ちであるので注意する必要があろう。26)いくら忙しくても、あるいはついうっかりした等色々理由はあろうが、あってはならないことであろう。発表についても同様のことがいえ、特許を出さないで発表はこれまた背信行為である。むしろ特許が公開になるまで発表を押さえることが開発者の常識となっている位が望ましい。「良い特許」によって包装された商品こそが、市場において優位に立つのである。特許によって包装されていない商品は一種の欠陥商品であろう。
B特許を取るか発表を取るか?
研究開発者にとっては、博士号を取ることは、研究開発者としての一種のステータスを取るようなもので、社会的にも一流の研究開発者として認知されたと言えよう。このためには、研究開発成果を論文として発表する必要があり、優秀な研究開発者として認められるためには当たり前のことであり、技術の累積的進歩には確かに貢献する。しかし、発表は特許制度とは相容れないものである。公開代償として特許を附与し技術の累積的進歩を図るのが特許制度である。(特許法第1条)
特許権者、すなわち企業の立場に立てば技術内容を公表しないでも特許を取得したい位であり、事業を成功させるためには技術内容の公表は極力避けるのが鉄則であろう。簡単に発表するのは、事業の足を引張るだけであり、会社に対する背信行為であろう。このことの認識が研究開発者には薄いのが嘆かわしい。
4.2審判決例の研究
知財に関する基本的知識はよく知っていれば知っている程「良い特許」を取ることができよう。 特に、最近では、技術の複雑化、特許競合の激化から、選択発明、数値限定発明の特許が、その重要性を増してきている。 特に数値限定発明27)は常日頃から研究をしておく必要があろう。以下若干の例を挙げておく。数値限定の発明に着目して、次のようにして研究あるいは実践を行なってみれば十分レベルアップに連がろう。@数値限定発明について、審査審判段階等で特許性有りとされたクレームと特許性無しとされたクレームを比較してみるのも勉強になろう。A基本発明の出願を分割して例えば製造方法の原出願については余り手間をかけないで特許化を図り、分割新出願した数値限定の物の発明については、慎重かつ大胆に権利化を図ろうとする。この時数値限定の臨界的意義を十分研究しておく必要があろう。Bいわゆるパラメーター特許で化学式によらなくてもパラメーターで物質が特定されるとして特許を受けることができたものを研究するのも勉強になろう。
4.3徹底した特許調査
―パテントマップ―
(1) 徹底した特許調査を実施することにより、場合によってはさ程手間暇をかけなくても「良い明細書」となり得る場合もあろう。28)
特許調査はする方がしないよりも良いに決まっており、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」の諺通り、特許調査は特許戦略上重要である。パテントマップ手法により特許調査をした結果、自らの行き先に車が渋滞している状態であるか空いている状態かで、明細書の書き方も変わってくるのは当然であろう。例えば、前の車が混んでいる場合であれば、どうしても選択発明、数値限定発明の改良特許としなければならない。特許乱立していたとしても、その分野でどうしても事業を行なわなければならないような場合、徹底した調査と徹底した出願前の検討をした上で、針の穴を見つけ特許出願をして特許を取っていく姿勢が大切である。もし、こんな状況下で、特許が取れれば、このような特許は「良い特許」に決まっている。特許調査により先行技術が明確になっていれば、実施例の記載方法も変わってこよう。
(2)実施例は必要ならばできるだけ書くこと!
後発である場合、贅沢は言えない。特許性の面から実施例があった方が良いと思われる場合には、積極的に実施例を明細書に書くようにすることが大切である。実施例が少なくてもスキのない「良い明細書」が書けるというようなことは有り得ない。ただし、数値限定発明の実施例にあっては、数値の臨界的意義が明確になるように実施例を明細書に記載すべきであろう。選択発明にあっても同様であろう。
(3)Fターム検索活用について
また、特許を取るための特許調査を投資対効果を重視して効率的に行なうには、開発テーマに対する侵害性調査結果やFターム検索による方法が考えられよう。
ここに、Fターム検索は特許庁審査官が行なっている特許性判断のための特許調査であるので効率的であろう。
また、開発テーマに対する侵害性調査結果を特許性判断の特許技術文献として用いることも効率的であろう。
4.4PCT出願の活用
PCT出願費用は国内出願の約2倍強であるが、この中に特許調査費用と特許性判断と外国特許取得の期待権が含まれているとすれば、必ずしも高くないということも言えよう。
(1)公開前に調査可能
とにかく国際調査結果が日本国特許庁から送付してくるのは、国際出願日から2〜3月とその速さは国内出願の比ではなく、しかも出願内容の公開前に送付されて来る。これを見て特許性があるか敵の特許内容はどんなものかを早期に見極めることができ、単に特許性があることの確認に止まらず、相手の事業と比較して自分の事業の位置付けを確認することもできよう。また、サーチレポートを見て逆にもっと広い特許が取れるとしてクレーム範囲を広げる戦略をも取ることができよう。PCT出願は手続き面において、手が広くて色々な手続き方法を出願人が選択でき上手にPCT出願を活用するといわゆる広くて強いしかもスキのない特許を取得できるということができよう。
(2)国際予備審査請求
国際出願の審査官は、出願件数が比較的少ないこともあって親切かつ丁寧な対応で、肯定的な御墨付き見解を得ることができ、少なくとも日本国の特許性は保証されよう。29)
さらに何回でも何回でも口頭等で応答が可能であり、最終的に肯定的な御墨付き見解を得ることができるという点で、国内出願よりもメリットがあるといえよう。
4.5後の先の取り方
−後発メーカーの生きる道−
後発メーカーであっても、何としても生きる道を探る必要があろう。独占禁止法の絡みもあって、何社かでシェアー争いの凌ぎを削っているのが現状である。従って、ここでは、後発メーカーの生きる道と題して、それを述べることにしよう。
(1)改良発明をとにかく考える。
とにもかくにも、後発メーカーであっても生きる道が残されていると信じて、厳しい中、何としてでも改良発明を考えて、先発メーカーと相打ちの形に持ち込むようにする。すなわち、自分が実施をしようとする技術の特許を何としてでも取るようにする。特許さえ取れれば何とかなるということであろう。相手の特許が水も通さぬ特許網になっているとは考えない。諦めない。よってどこかに脱出口があるはずであると信じて、その脱出口発見に全力を尽くすべきであろう。
(2)具体的対処方法
@先願が物の発明
方法の発明(製造方法、用途の発明)で特許を取り相手の特許を素早く囲む。富士山の頂上を押さえられていても他の富士山登山ルートを押さえることに全力を尽くすのである。30)
さて、幸運なことに新規な製造方法を考えたとしよう。新規な製造方法には、どこか製造された結果物自体に製造方法の特徴に基づく特徴があるはずであるから、それを早く発見して物の発明としてクレームに落とせば、新規な物の発明の特許が取れることになり、またひいては侵害回避にもつながるので一挙両得となるであろう。
A先願が方法の発明
改良方法等をとにかく考えることにする。新規な改良発明を考えたら、上記と同様にしてその結果物の発明について特許が取れないかを検討する。特許取得と侵害回避の一挙両得を得られる場合もあろう。押さえられた富士山登山ルートとは別の富士山登山ルートを見つけ押さえ、さらに押さえられていない富士山の頂上付近を見つけ押さえることを考えるのである。
4.6その他留意事項
(1)クレームが権利書
とにかく権利書部分はクレームであり、最も重要である。明細書の記載は先ず何をさて置いてもクレームから考えるべきであろう。自分の権利書がいかなるものとなるかには、最大限の注意を要しよう。
詳細な説明とか、図面とかは裏付け資料と考えればよかろう。31)
(2)各請求項が拒絶されないようにすることが重要である。徹底した特許調査やPCT出願の国際調査を利用して特許性の検討をした上で、スキを見つけ特許性あると判断できれば自信を持って特許を出す。このようにして取った特許は「良い特許」に決まっていると自信をもっていうことができる。特許になるか特許にならないかは紙一重の場合もあろうが、企業側から見れば天国と地獄であり、勝てば官軍負ければ賊軍である。なお、拒絶を回避するようにする明細書の記載方法は拙著他を参照のこと。32)
(3)余り型にはまらない。
明細書の書き方について書かれている色々な参考文献を見ても、開発の人間にとっては頭が腸捻転を起こすだけである。何しろああしろこうしろと彼らにとっては重箱の隅を突つくようなことがいっぱい書いてある。
ただし、余り型にはまらなくてよいが、重要事項を書き漏らさないことが大切である。
何が重要であるかは、セールスポイントすなわち特徴的部分を念頭に置いて、課題との関係がどうであるかとか効果が異質であるか同質であるかとかがキチンと記載されているかが重要となろうが、特許の人間および事務所の優秀な人間は、こういうことには長けており拒絶対応等に裏付けされた手練手管を身につけているので彼らに任せておけばよいであろう。ここに、優秀な事務所といわず事務所の優秀な人間といったのは、客をヒキツケルのは、設備の良い美容院ではなく美容院の腕の良い美容師であるのと同じ理屈である。
細かいことをついでに言えば、例えば、それぞれの請求項の課題、構成、効果(異質か同質か?)はキッチリ書いてあるか?及び引用例(想定される引用例)との課題、構成、効果(異質か同質か?)の相違点は?等であろうか?……。しかし、このようなことも特許の優秀な人間および事務所の優秀な人間に任せてもよいであろう。
(2)中間処理対応
@補正対応
補正可能なように当初明細書に記載しておく。万が一の保険をかけておく。補正も必要ないような100点満点の明細書は先ず無理である。従って、数値範囲については、
「通常は、何々〜何々、好ましくは、何々〜何々、さらに好ましくは、何々〜何々、さらに好ましくは、何々〜何々、さらに、好ましくは何々〜何々」と記載すればよかろう。新規性(特許法第29条第1項)、拡大された先願範囲(特許法第29条の2)と先願主義(特許法第39条)は、除くクレームで対応可能であるので、拒絶対応は比較的容易であろう。ただし、各数値の臨界的意義との関係ではどうなのであろうか? 補正は認められたが、進歩性(特許法第29条第2項)で拒絶回避できずの悲劇が起こりうるので注意を要する。33)
A異議対応
拒絶通知されることも無く目出度く特許になっても異議申立があった場合、もはや分割できず窮屈な対応を迫られる。反って拒絶通知を受けるクレームになっていた方が良い位であり、先ず特許にならない請求項、次に特許になり難い請求項、その次に特許になり易い請求項等のように色々のレベルの請求項が混在したクレームを記載しておくことを薦めよう。拒絶されても分割等の手が色々あるので対応に困らず、拒絶対応を経て「良い特許明細書」に仕上げることができるからである。
5.結論
(1)「良い明細書」が書くための舞台!
@調査と明細書評価
普通に開発の出願依頼を受けて特許事務所に依頼しても、それだけでは単なる郵便業務をこなしているだけである。特許になるのは、出願から2〜10年後であり、早期には出願は評価されない。このようなことも特許の人間のモラル低下を招いている一因である。
しかし、徹底して特許調査を行ない開発の人間と知財の人間が一心同体となって仕上げた特許明細書は良い明細書でない訳がなく、結局は「矛と盾を持った強い戦士」の機能を発揮する「良い特許」となることは間違いないであろう。
そこで、徹底した特許調査ができる体制と上記のようにして仕上げた良い明細書を早期に評価する体制ができあがっていることが大切であろう。
なお、「良い明細書」の早期評価法として、年に何回かの特許発表会を開催して、開発の人間と特許の人間が、これこれこのようにして「良い明細書」を書いたということを、晴れの舞台で発表する機会を作る等が考えられよう。事業のために役に立つ「良い特許網」を構築するインセンティブとなろう。
(2)拒絶対応のレベルアップ。
拒絶対応が下手で、「良い明細書」が書ける訳がない。従って、拒絶対応の勉強会等で相互のレベルアップを図っていくことも重要であろう。
「良い明細書」の成功例を紹介しPRすること!
明細書が良かったから→特許が良かったから→特許網が良かったから→事業が成功したというような「良い明細書」の成功例を紹介して大いにPRに努めることが大切でろう。
特に、広くて強くてスキのない特許であったから、他社参入を阻止し得たことをPRする。特許が事業の役に立つことをもっともっとPRに努める必要があろう。34)
例えば、成功例をサクセスストーリーに仕立てて、広くもっともっとPRに努めるようにする。

6. おわりに
開発・知財の区別無なく、事業者の立場に立てば、全体がはっきり見えてくる。
何をさておいても、開発の人間と特許の人間が一心同体となって、徹底した特許調査を行なって、検討を重ね、粘り強く中間対応をこなして、最終的に「良い特許」を取って、「良い特許網」を構築し、事業遂行に資することが重要である。研究開発成果は、最終的には特許となり事業遂行に資しなければならないのである。従って事業に役に立つような「良い明細書」を書くことが重要となって来るのである。
事業分野を問わず、「良い特許」を取ることは、非常に重要であるということをもっともっとPRしていくことも重要であろう。35)
以上

注記
1)本論説では、代理人すなわち特許事務所の立場でもなく、審査官等すなわち特許庁の立場でもなく、あくまでも出願人すなわち企業の立場に立った「良い明細書」を論じることとしている。事務所の立場に立てば、如何にすれば最小労力でクライアントたる出願人(企業)を満足させることができるかに主眼が置かれ、特許庁の立場に立てば、如何にすれば審査が容易となるかに主眼が置かれることになるであろう。
高月 猛著「明細書の書き方の変遷」,パテント1997Vol.50 No.1 p.69には、「出願人の良しとする明細書がベストということになる。」とある。
2)良いとか悪いとかはどういう判断基準でもって判断するのかが問題となる。「良い明細書」は「良い特許」に繋がり、なぜ「良い特許」を取ると良いのかを特許の本質に立ち返って考慮する必要があろう。
厳密にいえば、事業単位で考えるべきであり、「良い特許網」とは、事業のために役立つ武器群! 従って「良い特許網」を構築するためには、中に悪い特許があってもよいが少なくとも「良い特許」が必要である。本論説では、「良い特許網」を構築するための「良い特許」を取るためには、「良い明細書」は如何に記載したらよいかを論ずることとする。
3)特許には、法律用語としての「行政処分」の意味の他、「特許権」、「特許出願」、「開発側に対する知財側」等のように色々な意味で使用できる便利な言葉である。本論説では、このような便利な言葉を用いてできるだけ平易に論ずることとする。なお、ここでは「特許権」の意味である。
4)一定の要件をクリアすれば特許となるのであり、楽々クリアしたからといって、それだけで企業にとって「良い特許」ということもできない。例えば、弁理士試験で最高点で合格したとしてもその人は最高の弁理士であるということはできない。単なる資格試験をパスしただけであり、クライアントのニーズに応えられなければ、良い弁理士とはいえないからである。これと同じでノーベル賞が受賞できる程技術レベルは高くて進歩性は楽々クリアしたとしても、肝心の経済性が低く事業に役に立たなければ、「良い特許」ということはできない。
5)吉藤幸朔著「特許法概説(第8版)」有斐閣発行, p.352(ホ)
6)特許の効果は、「矛と盾の両方を持った戦士」の機能であるが、いわゆる「事業の自由度の確保」の効果とほぼ同義であろう。(知的財産管理委員会著「知的財産の活用について」,知財管理1997 Vol.50 No.11, p.1655〜1656を参照。)なお、久保山隆著「企業の立場からの明細書」,パテント1997 Vol.50 No.1, p.11のB実施の自由度確保の為の特許出願に記載されている「実施の自由度」とは異なると考えられるので注意を要する。むしろ、戸田祐二著「メガコンペティション時代を迎えた電気メーカーの明細書」,パテント1997 Vol.50 No.1, p.24〜25に記載の「自社製品の自由度の確保」に近いであろう。
7)将来的に重要性を増す「矛の効力」の経済的価値をどのように評価するかが課題となってこよう。
8)竹田和彦著,知財管理Vol.47 NO11 1997,p.1614を参照。日本では、未だ「盾の効力」を期待しているが、本格的プロパテント時代においては、「矛の効力」に特許取得の主眼が置かれるようになるだろう。なお、矛としての効力の評価法が、まだはっきり確立していないが、これからの特許の評価には、この矛としての効力の評価法の確立が待たれよう。
9)特許権の矛の効力を消極的効力ともいう。盾の効力を積極的効力ともいうので、ここで用いる消極的という意味は、受け身的という意味であるので間違いないように注意する必要があろう。
10)矛が良ければ、盾も良いとはいえず、その逆に盾がよければ矛も良いということも必ずしも言えない。例えば、事業化予定の発明を特許したが、それはピンポイントの特許であり設計変更によって侵害回避が容易な特許であったような場合は、「良い特許」とは言えないであろう。ただし、矛と盾の両方が良いということは有り得る。これは矛盾ではない。なぜならば、特許の性質上、自分の矛で自分の盾を突き刺すということは有り得ないからでである。
11)事業は、利潤を得ることを目的にしており、判例にもなっているが、営業と特許と資本によるいわゆる3分法に基づいて説明されている。セールストークの営業活動とセールスポイントの特許とが相俟ってより事業展開を優位に進めることができよう。
12)特に残念に思うのは、カタログ中のセールスポイントが特許明細書に記載されていなかったり、特許技術の特徴部分がセールスポイントになっていなかったりするケースがあるということである。前者は、出願をしないで発売をするということで言わば反逆行為であり、後者は、セールスポイントとしてお客様に訴えることもなく、「矛と盾を持った強い戦士」の機能を発揮しないということで、理由はさて置き利用されず埃に塗れた特許は悲しい。 なお、他社参入阻止のための特許では、他社が用いるであろう想定セールスポイントが特許技術の特徴部分となっていれば、それはそれで「良い特許」であろう。
13)吉藤幸朔著「特許法概説(第8版)」有斐閣発行, p.213
14)特許庁編 〈財〉発明協会発行 特許実用新案 審査基準 第U部 特許要件 第1章 明細書の記載要件 3.特許請求の範囲 5.留意事項を参照。
15)山口洋一郎著「日本出願を米国出願に変更する際に知っておくと便利なこと」,パテント1997Vol.50 No.1 p.63を参照。
16)「恣意を排除して極自然に」とは、相手を侵害に引掛けようとして無理な表現を用いることなく、あくまでも公平な第三者の立場に立って欲を捨ててクレームを自然に表現することを意味する。後になって侵害訴訟で事実認定で争わざるを得なくなった場合、事実認定で負ければ殆ど勝つ見込みがないからである。なお、高価な測定装置を使ったパラメータ特許の表現でもかまわず、「恣意を排除して極自然に」の表現とは、直接関係ない。
17)ディスカバリーとは米国特有の手続であり、訴訟におけるディスカバリーは、当事者が相手方または第三者に対して事実または証拠の開示を求めることである。(米国特許研究会編「米国特許実務用語辞典」(第3版)(社)日本国際工業所有権保護協会発行, p.196抜粋)
18)黒田博道著「プロパテントの時代を迎えて」,パテント1997 Vol.50 No.12 p.13を参照。
19)単にメーカースタンスの特許対象よりもユーザースタンスの特許対象方が高金額化するからでもある。
20)X社の特許発明にライバル会社Y社が改良発明をし、X社の特許発明の構成要件A+Bに、新たな構成要件Cを付加して構成要件A+B+Cの発明をし特許発明とした場合、X社は構成要件Cを使用しないで構成要件C’とすることができればX社のみが実施可能である。ただし、X社も構成要件Cが非常に経済的技術的に優れた構成要件であって、どうしても構成要件Cを避けて使用することができない場合、ともに実施することができない事態が生じる。このような場合、X社は先発メーカーの有利な立場が崩されていることになる。
広くて強い特許であるがスキのある特許とは、先発の特許明細書にはかかるベスト・モードが記載されていなかった場合、後発のライバル会社にこのベスト・モードの改良特許を取られてしまった場合、先発後発双方とも実施できない事態が生じる。特許の「矛と盾を持った強い戦士」の効果が半減することとなる。
21)いかにその周辺までをも保護した“いい権利”にするかが特許の人間の仕事。最初のアイディアの権利を相手はどうかいくぐるか、だとすればこういう変形があり得 るのではないか」と考え、輪を広げて権利化する。そうすれば最初に生まれた権利よりずっと広く使えるものとなります。ここまでしないと本当にいい権利とは言えない。(キャノン丸島専務)
22)特許庁編 〈財〉発明協会発行 特許実用新案 審査基準 第U部 特許要件 第1章 明細書の記載要件 3.特許請求の範囲 5.留意事項を参照。
23)吉藤幸朔著「特許法概説(第8版)」有斐閣発行, p.190〜192
24)特許庁総務室 総務課企画調査室「中小企業における工業所有権制度利用実態調査」結果の概要について,知財管理Vol.50 NO1 1998,p.138に、「新製品開発時に工業所有権担当者が開発に携わる時期は、中小・中堅企業では企画・アイディア段階が64.1%で、残りがそれ以後であるのに対し、大企業では81.3%となっている。業況との関係で見ると、成長している企業ほど工業所有権担当者が早い段階で製品開発に参加している傾向がある。」とある。
25)佐藤富徳著「PCT出願の活用について」,知財管理Vol.50 NO1 1998,p.107〜108を参照。
26)紙尾康作著「新製品開発の話」デックリサーチセンター(株)p.34には、「特許を出願しないで新製品を売り出すことは会社に対する背信行為であると考えなければならない。」と記載されている。なお、ある会社の例であるが、商品は既に発売されているにも拘らず、これに関する特許は出されていなかったということが過去にはあった。
27)特許庁編 (財)発明協会発行 特許実用新案 審査基準 第U部 特許要件 第2章 新規性・進歩性 2.進歩性2.8数値限定を伴った発明の進歩性の考え方を参照。
28)梶崎弘一著「化学発明における実施例の意義」,パテント1997 Vol.50 No.9を参照。
29)佐藤富徳著「PCT出願の活用について」,知財管理Vol.50 NO2 1998,p.173〜174を参照。
「国際調査報告、国際予備審査等からオーソライズされた特許文献リスト、見解が得られ、権利者に有利な場合はオーソライズされた御墨付き(以下単にお墨付きともいう。)をもらうことになる。特に競争が激しい分野において、発明が国際戦略上も重要であるのは分かっているが権利化できるかはっきりしない出願については、先ずPCT出願をして早い段階で国際調査結果である特許文献のリストを見て特許性があるかどうかと判断することができる。さらに、国際予備審査請求をして肯定的な(特許性があるという)国際予備審査結果を得た場合は、日本国においては当然お墨付きをもらった効果がある。欧州特許庁においてもこの肯定的な国際予備審査結果は尊重されるので欧州特許庁においてもお墨付きをもらった効果はあろう。(欧州特許庁審査ガイドライン)」を参照。従って、PCT出願は通常の出願の約2倍強であるが、特許調査費用、国際予備審査の費用も入っているとすれば、さほど高いという気がしないではなかろうか。
30)竹田和彦著「特許がわかる12章[第4版]」1996年1月25日ダイヤモンド社発行,p.71〜72を参照。
31) クレームが請求書に相当し、詳細な説明等は、請求額を裏付ける明細書に相当しよう。
32)佐藤富徳著「技術課題の根拠及び内容が明らかにされているとして進歩性が認められた事例」,知財管理Vol.47 NO6 1997,p.851〜852の6.2明細書の記載についてを参照。
関西特許研究会明細書研究班著「理想の明細書を求めて」,パテント1997Vol.50 No.1 p.47〜 60を参照。
33)補正が認められるための要件と数値の臨界的意義が認められるための要件とは全く別である。
34)丸島儀一著,知財管理Vol.47 NO11 1997,p.1618を参照。特許が重要な経営資源(パテント・ポートフォリオ)となり、企業経営に積極的に役に立つということをもっともっとPRする必要があるように思う。
35)特にユーザーの場合、「良い特許」を取ることは、非常に重要であるということをもっともっとPRしていくことが重要となる。PR内容は、ユーザーが特許を取る意義を訴えることとなろう。
ユーザーのみが特許を保有することのメリットは保有しない場合に比べて実施料相当分だけ安く購入できるというメリットがあろう。逆にメーカーに特許がありユーザーに特許がない場合には実施料相当分だけ高い買い物をすることになろう。ただし、ユーザーが最も恐れるべきは、全く関係のない他社、X社に特許を取られて、ユーザーの事業戦略に支障をきたすということであろう。例え、X社に特許を取得されたとしても、ユーザーがそれに見合う特許を持っていれば、クロスライセンスをすることによりお互いにチャラにして「事業の自由度の確保」をすることができるといことである。
「事業の自由度の確保」については、知的財産管理委員会著「知的財産の活用について」,知財管理1997 Vol.50 No.11, p.1655〜1656を参照。
以上

弁理士・行政書士 佐藤富徳

 

 

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