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ガス漏れ監視装置

(書誌+要約+請求の範囲)

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平5−99779
(43)【公開日】平成5年(1993)4月23日
(54)【発明の名称】ガス漏れ監視装置
(51)【国際特許分類第5版】
G01M 3/04 7324-2G
3/38 7324-2G
【審査請求】有
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願平3−260114
(22)【出願日】平成3年(1991)10月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】金川 俊英
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修



(57)【要約】
【目的】 被検出ガスに吸収可能な波長を有するレーザー光を監視対象域に対して二次元的に照射し、監視対象域を透過して監視対象域の背景により反射してくるレーザー光を検出する検出手段と、検出手段により得られた検出情報を画像表示し、漏洩ガスを検出するガス漏れ監視装置を得る。
【構成】照射手段Eに、照射レーザー光を集光し、その照射対象領域面積を変更する照射面積変更手段E2が設けらたり、レーザー光Lの波長λを概中央位置とするとともに、検出手段Rに入光するレーザー光Lの帯域を変化させる透過帯域変更手段R4を設けたりする。



【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検出ガス(g)に吸収される波長を有するレーザー光(L)を監視対象域(A)に対して二次元的に照射する照射手段(E)と、前記監視対象域(A)を透過して前記監視対象域(A)の背景により反射してくる前記レーザー光(L)を検出する検出手段(R)と、前記検出手段(R)により得られた検出情報を画像表示する表示手段(S)とを備えたガス漏れ監視装置であって、前記照射手段(E)に、照射レーザー光を集光し、その照射対象領域面積を変更する照射面積変更手段(E2)が設けられているガス漏れ監視装置。
【請求項2】 被検出ガス(g)に吸収される波長を有するレーザー光(L)を監視対象域(A)に対して二次元的に照射する照射手段(E)と、前記監視対象域(A)を透過して前記監視対象域(A)の背景により反射してくる前記レーザー光(L)を検出する検出手段(R)と、前記検出手段(R)により得られた検出情報を画像表示する表示手段(S)とを備えたガス漏れ監視装置であって、前記レーザー光(L)の波長(λ)を概中央位置とするとともに、前記検出手段(R)に入光する光束の帯域を変化させる透過帯域変更手段(R4)が設けられているガス漏れ監視装置。
【請求項3】 被検出ガス(g)に吸収される波長を有するレーザー光(L)を監視対象域(A)に対して二次元的に照射する照射手段(E)と、前記監視対象域(A)を透過して前記監視対象域(A)の背景により反射してくる前記レーザー光(L)を検出する検出手段(R)と、前記検出手段(R)により得られた検出情報を画像表示する表示手段(S)とを備えたガス漏れ監視装置であって、前記照射手段(E)に、照射レーザー光を集光し、その照射対象領域面積を変更する照射面積変更手段(E2)と、前記レーザー光(L)の波長(λ)を概中央位置とするとともに、前記検出手段(R)に入光する光束の帯域を変化させる透過帯域変更手段(R4)が設けられているガス漏れ監視装置。
【請求項4】 前記検出手段(R)に、ズーム装置(R2)が備えられている請求項1ないし3に記載のガス漏れ監視装置。

詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工場内におけるタンク、配管等、あるいは道路等における埋設導管や露出導管等、家庭内における屋外や屋内配管等から漏洩する被検出ガスのガス漏れを検出するためのガス漏れ監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、工場内のガス漏れ検知においては、監視対象域に複数の検知装置を配設してガス漏れの状況を把握していた。しかしながら、この方法においては検知が一点検知に限られる。さらに、レーザー光を利用してガス濃度を検出する装置があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記はいずれも、点又は一次元を監視領域もしくは検出対象とするものに限定されていた。そこで監視対象域を二次元的に監視するため、被検出ガスに吸収される波長を有するレーザー光を監視対象域に対して二次元的に照射する照射装置と、監視対象域を透過して監視対象域の背景により反射してくるレーザー光を検出する検出手段と、検出手段により得られた検出情報を画像表示する表示手段とを備えて構成され、作業者は表示手段に表示される画像情報を見ることにより、ガス漏れの監視をおこなうものが提案されている。このような監視装置においては、検知信号が弱く表示手段による表示が適切におこなわれない欠点(太陽光等の影響で、日によってあるいは季節によって画面が過度に明るくもしくは暗くなったり、監視対象のガス濃度に対する明暗度の分解能が悪くなったりして、例え表示されたとしても明確にガスの存在が確認できない等の欠点)がある。従って、本発明の目的は、このような監視装置において、その表示装置に於ける表示が適切におこなわれる監視装置を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するための本願第一の発明の監視装置の特徴構成は、照射手段に、照射レーザー光を集光し、その照射対象領域面積を変更する照射面積変更手段が設けられていることにあり、さらに、本願第二のガス漏れ監視装置の特徴構成は、レーザー光の波長を概中央位置とするとともに、検出手段に入光する光線束の帯域を変化させる透過帯域変更手段が設けられていることにある。そして、その作用・効果は次の通りである。
【0005】
【作用】上記のような監視装置においては、その信号を適度に調節して表示手段側に受け渡す必要がある。このために本願の監視装置においては、その第一発明において照射面積変更手段が、その第二発明においてレーザー光の透過帯域変更手段が備えられている。
【0006】つまり、本願第一の発明においては、図2及び図4に示すように、照射面積変更手段により照射されるレーザー光の領域が可変とされている(図において、通常状態の監視域を二点鎖線で、照射域を小さくした状態の監視域を一点鎖線で示す)。そして、通常の監視状態においては、比較的広い領域をカバーするように大きな視野角でレーザー光が照射される。この状態においては、比較的高濃度のガス域が、表示装置に表示される。一方、監視対象域において集中監視の必要が生じると、照射面積変更手段により、ある領域に集中してレーザー光が照射される。そして、この状態においては、比較的低濃度のガス域まで、コントラストよく表示される。
【0007】さらに、本願第二の発明においては、透過帯域変更手段がにより検出手段に受け渡されるる信号の透過帯域幅が変えられる。当然この帯域内にはレーザー光の波長が含まれているため、このレーザー光による情報(Sと称する)が主にガスに関する情報となり、その波長近傍の信号(Nと称する)が主に背景信号となる。ここで、表示手段においては一般に正規化処理が行われる。この処理は、検知帯域内での信号の積分値を取り、この積分値に従って出力信号の最大値が決定され、この値に従って信号の正規化をおこなう処理である。そして、これは、前述の透過帯域幅に支配される。従って、この帯域幅を適当な値に変更することにより、S/N比が変わり画像側で適切な表示状態に、この比を自由に選択できるのである。この時、背景とガスの表示のバランスも得ることができる。
【0008】
【発明の効果】従って、このような監視装置において、その表示装置に於ける表示がガス監視に合致するように適切におこなわれる監視装置を得られる。
【0009】
【実施例】本願の実施例を図面に基づいて説明する。図1には本願のガス漏れ監視装置1を使用して、ガス製造工場における球形ホルダー2近辺(球形ホルダー2に接続されている配管のフランジ接続部2a)のガス漏れ監視をおこなっている状態が示されている。即ち、監視対象域の一例としての球形ホルダー2を背景とする漏洩監視地域Aにおいて、被検出ガスとしての可燃性ガスgの漏洩の有無が監視されている。監視動作の概略構成を説明すると、ガス漏れ監視装置1内に装備されている照射手段としての照射装置Eから特定の波長λを有するレーザー光Lが、前記の漏洩監視地域Aを介して球形ホルダー2を背景とする地域に向けて照射される。そして、この背景より反射してくるレーザー光Lが検出手段としての検出装置Rにより検出され、この検出装置Rに接続された表示手段としてのTV装置S(記憶装置5を備えている)に表示される。先ず、本願のガス漏れ監視装置1の詳細構成について、同図に基づいて説明する(図2参照)。このガス漏れ監視装置1は、監視対象のガスである例えばメタン、エタン、プロパン、ブタンといった可燃性ガスgによって吸収されるレーザー光Lを、漏洩監視地域Aに照射する照射装置Eと、漏洩監視地域Aを透過して前述の背景より反射してくるレーザー光Lを検出する検出装置Rを備えて構成されている。さらに、この検出装置Rから検知信号が表示手段であるTV装置Sに送られ、画像表示される。ここで、この照射装置Eには、レーザー発生装置E1と、この光路上に配設されるレーザー照射光の照射領域を変更する照射面積変更手段としての光束拡散装置E2(ビームエクスパンダ、ズーム機構を含む)とが備えられている。当然、この光束拡散装置E2は、レーザー発生装置E1から照射される光のほぼ全量をエネルギー減衰のないまま、照射対象領域面積(事実上は視野角)を変化させて照射側に伝える。一方、検出装置Rは光入射側から、ズーム装置R2、バンドパスフィルターR3及び赤外線イメージセンサR1を備えて構成されている。ここで、このバンドパスフィルターR3は複数個用意されており、切り換え装置R4により、透過光の帯域を変えることが可能とされている。以上に説明した装置における各要素の諸元を箇条書きする。
レーザ発生装置E1としての赤外光源レーザー形式 ヘリウムーネオン レーザー公称出力 8mW中心波長 λ 3.39μm、透過スペクトル幅 0.09μm視野角 通常使用時 最大14°集光使用時 1°背景との距離 数m〜数100mイメージセンサ R1検知波長域 3μm〜5μm最大検知温度差 0.15℃以下(NETD)
バンドパスフィルターの幅 α+β 0.1〜2μmここで、α,βは任意に設定される。
【0010】以下に本願のガス漏れ監視装置1の働きについて説明する。先ずその原理から説明すると、ガス漏れ監視装置1の照射装置Eよりレーザー光Lが、漏洩監視地域Aを介して球形ホルダー2を背景とする地域に向けて照射されるとともに、この背景よりレーザー光Lが反射して装置1の検出装置Rに入射して、この信号が検出され、この検出装置Rに接続されたTV装置Sに表示される。ここで、漏洩監視地域A内に監視対象である可燃性ガスgがあると、レーザー光Lが、この可燃性ガスgに往路及び復路において吸収され、レーザー光Lに空間的な(二次元写像とされた場合の異なった位置で)強度差を生じる。従って、この情報がイメージセンサR1で検知され、表示される場合は、図3に示すように、その画像がガスの有無、濃度に従って濃淡画像、もしくは異なった色彩画像(このような処理をおこなう場合は)として表示される。
【0011】さて、監視装置1の作動原理は以上のようであるが、単純に以上に説明したように動作する装置系を備えた場合は、TV装置Sに於ける画面が太陽光等による反射等、背景光強度により過度に明るくなったり暗くなったりする。さらに、監視対象のガス濃度に対する表示画面上での明暗度差が低く、例え表示されたとしても明確にガスの存在が確認できない等の問題が起こる。従ってこれらの問題を解決するために、本願の監視装置1においては、レーザー照射光の照射領域を変更する光束拡散装置E2と、バンドパスフィルターR3において、これが複数個用意され、切り換え装置R4によりその透過帯域幅を変えることが可能となるように構成されている。
【0012】以下に夫々の働きについて図面に基づいて説明する。図2及び図4に示すように、本願においては光束拡散装置E2により、照射されるレーザー光の領域が可変とされている(図において、通常状態の監視域を二点鎖線で、収光状態の監視域を一点鎖線で示す)。そして、通常の監視状態においては、比較的広い領域をカバーするように大きな視野角でレーザー光が照射される。この状態においては、信号強度に対する背影からのノイズ強度の比が大きいため比較的高濃度のガス域G1が、表示装置において表示される。さて、監視対象域において異常が見つかると、そのガスのある領域に集中してレーザー光が照射される。この照射にあたっては、対象領域はかなり狭められたものとされる。そして、この状態においては、比較的低濃度のガス域G2まで、コントラスト良く表示される。図4には、ガス濃度と検知対象となる空間領域の関係が模式的に描かれている。
【0013】次に、透過帯域幅の可変機能について説明する。イメージセンサR1で検知された信号は、一般に正規化される。この処理は、検知帯域内での信号の積分値を取り、この積分値に従って出力信号の最大値が決定され、この値に従う信号の正規化処理である。ここで、例えば、本願のようにノイズ(これは背景に相当する)を暗い信号とし、信号を明るい信号とする場合は、信号量が多いほど画像は明るく(逆の場合は暗く)なるのであるが、この状態を単純に許容すると、信号が強い信号であるにも係わらず、この信号が飽和し、全体が暗いままTV装置Sの一部に単に明点として表示される場合もある。この場合は、表示装置Sがガス漏れの状態を的確に表示しているとはいいがたい。そこで本願においては、バンドパスフィルターR3を交換して透過帯域幅を変更することにより、信号とノイズの割合を変更することにより、表示装置Sのおける表示状態をガス漏れの状況を適切に代表できるものとしている。ここで、一般のTV装置Sにおいてはゲイン調節装置(図外)が装備されているが、このゲイン調節装置を調節するより、透過帯域幅を変更するほうが良好に表示状態の最適化が可能となる。図5に、透過帯域幅の変化の状況が示されている。
【0014】〔別実施例〕本願の別実施例を以下に箇条書きする。
(イ)上述の実施例においては、照射装置Eにより照射されるレーザー光を単一光とし、このレーザー光として可燃性ガスgにより吸収される波長のものを選択したが、こういった波長のレーザー光とともに、前記ガスgには吸収されない波長のレーザー光による検出系を上記の実施例の検出系とは別途に設け、この系の検出結果をグラウンドとし、吸収される波長の結果をガス情報として、この二波長の検出系によりガスを検出するものとしてもよい。この場合は、ガス濃度まで確定することが可能となる。
【0015】(ロ)さらに、監視対象領域の背景としては、前記球形ホルダー2の他、地面、コンクリート壁、塗装済の鉄骨構造物等でもよく、さらに特定域についてはスクリーンを備えてもよい。
【0016】(ハ)さらに背景は一般に静止しているのに対し、漏洩した被検出ガスgは、流動する。従って、異なった時間における本願のガス漏れ監視装置1で可視化した映像情報を比較分析することによりガスの漏洩の状態を把握できる構成を採用することもできる。
【0017】(ニ)さらに監視対象域が広い場合は、レーザー光の照射域を監視対象域に対して移動させて監視することもできる。尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。

対象となる特許を特許評価システムを用いて、客観的特許評価を行います。

 

 

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